『チョコレートコスモス』<span class="note">(恩田陸)</span>
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2006/03/15
- メディア: 単行本
- クリック: 20回
- この商品を含むブログ (227件) を見る
恩田版『ガラスの仮面』としか言いようのないお話。恩田陸の少女漫画オマージュここに極まれり、といった感あり。
劇団関係な人がこの手の話を読むと、いろいろツッこみたくなるらしいですね。例えば、『最後の願い』(光原百合)を読んで「人間関係がこんなにキレイなわけねーだろ」とか。だからといってそこをリアルに書いても、外の人間にとってはあまり面白いもんじゃないという気もしますが。この作品ではそういう美しくない人間関係の描写はあんまりなくて、実力派女優の個人的な葛藤だったり、得体の知れない天才を見た人々の恐怖感だったり、ある意味わかりやすい部分にフォーカスしているのが良い、ような気が。一番の読みどころは俳優たちの演技シーンなのだけれど、そのあたりはさすが恩田陸。台詞の応酬により場のテンションがどんどん上昇して最後にどかーん、という場面が何度も出てくるので、『六番目の小夜子』の体育館での演劇シーンが好きな人にはおすすめです。
ラストは相変わらず半端ですが、続編を書くことを見越した締め方なのでいいんじゃないですか。というか、続きが出なかったらサギだろこれ。