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2010/10/11 までの http://d.hatena.ne.jp/sasashin の記事をインポートしただけです。

『ドッペルゲンガー宮 <span class="subtitle">《あかずの扉》研究会流氷館へ</span>』<span class="note">(霧舎巧)</span>

メフィスト賞受賞作にして《あかずの扉》研究会シリーズ第一作。今まで放っておいたのを取り出して読んでみたのだけれど……えーと、もう少し積読の山の中に放置しておいてもよかったかも。あれこれ詰め込もうとしすぎて中途半端な感じ。

序盤の《あかずの扉》研究会の紹介は悪くない。冗長に感じる人もいるかもしれないけれど、シリーズの最初だと思えば許容範囲内。ただ、流氷館で事件が起き、探偵役が解決のために動き始めると俄然グダグダになる、ってのはどうしたものか。や、面白いとかつまらないとか言う前に、事件の構図がさっぱり見えなくてページを繰る手が止まりがちになって何だかもうどーでもよくなってくるという……。ヘボ探偵である読者をもっとミスリードしてくんなきゃ読む気が起きねーです。

館ものなので館にトリックがあるんだけど、まあ、バカトリックだよなあ。大仕掛けすぎてスマートでないのは個人的に好みでないので減点。それと、ダブル名探偵を配した謎解きも失敗してるっぽい。名探偵Aが解決したかに見えた事件を名探偵Bが引っ繰り返して驚愕の真実が明らかに!というよくあるパターン。なんだけど、(以下微妙にネタバレかも)2人がそれぞれに指摘する犯人の、意外性のバランスがおかしい気がする。読んでる時の気分としては、「犯人は a だ!」「な、なんだってー!」→「本当の犯人は b です」「あ、そうなんだ。ふーん。」という感じでした。